鬼熊俊多ミステリ研究所

鬼熊俊多のブログ。『名探偵コナツ』連載中!

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裏絶対可憐チルドレン・Thisコミュニケーション

 この作品は化け物だ(すごくおもしろいという意味で)。
  Twitterでフォローしている人がお勧めしていたので読んでみた。
 まず1巻を注文して読んだ。面白い。
 2巻を注文。超面白い。
 三巻を。超超面白い。まだ続きは出ていないだと!? 早く続きを読みたい!
 わずか一週間の出来事である。
 俺の中では久しぶりの大ヒットだ。月刊少女野崎くんもおもしろかった。でもあれはじわじわ来る感じだった。Thisコミュニケーションの方は 3話目ぐらいでガツンとやられた。


Thisコミュニケーション 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 主人公の男が6人の少女を従えてモンスターと戦う、というのが基本設定だ。
 少女たちは馬鹿力で死んでも1時間前の記憶状態で生き返るという強化人間。まあ特殊能力持ち? 
 有名どころを例に出せば絶対可憐チルドレンか。
 でもあっちの男の指導者がピュアで真面目で常識人なのに比べてこっちは合理的で冷酷で血も涙もない冷血漢だ。
 なにせチームをまとめるため、少女達の自分への忠誠心を上げるために都合の悪いことが起こるたびに少女たちを殺して記憶のリセットを行うのだ。
 主人公はそれを良心の呵責なくやる。
 どうせ少女たちが生き返るから気軽に殺しているというわけではなく(死なれたままでは戦力が低下するのでそれも多少あるが)、元々組織内の邪魔者を殺す性質の人間なのだ。胸糞悪くなる話だが本人はからっとしていてウエットではないためか、割とすんなりストーリーを飲み込めた。


Thisコミュニケーション 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)
 

 主人公はいわゆるサイコパスだ。
 目的のためには手段を選ばない。
 物語の主人公には心を持たないサイコパスが案外多いが(007のJames Bondみたいに)、多いのには理由があって人々にそういう人物への憧れがあると思われる。
 自分だったら躊躇してしまうことをあっさりできる。そこに惹かれる。
 だが普通は人を殺してはいけない。生き返るとしても苦しいだろうし、記憶を奪うなんて良くないことだと思ってできない。
 でもサイコパスは目的遂行のためにあっさりそれをやる。
 それで読者はカタルシスを得る。内心で自分もそうありたいと思っているからだ。だが同情心や常識、あるいは失敗する可能性を考えてできない。
 特攻隊を思い出す。
 最悪の作戦だと言われている。
 俺もそう思う。
 だがもしあれで米軍を排除し、アジア全土を解放していたら? 特攻は現在絶対的な賛美の対象になっていたのではないか。
 目的を遂げればどんな犠牲も許される、というのが実は世界の真理なのではないか。
 そんなことまで考えさせられた作品。
 非常にプロットが作り込まれていて読み応えがある。
 しかし人の命を軽く扱うってところが今書いている自分の作品に似ていた。これも時代性というやつなのだろうか。


Thisコミュニケーション 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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