鬼熊俊多ミステリ研究所

鬼熊俊多のブログ。『名探偵コナツ』連載中!

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五等分の花嫁(アニメ)に見る創作テクニック

 ヒロインが五つ子? おそ松くんじゃあるまいし、個性出すの難しいんじゃないの? と思いつつアニメを観たが、見事に個性が出てました。
 もしかして最初は五つ子にするつもりはなく、それぞれ赤の他人だった五人のヒロインをその場の思いつきで五つ子にしたんだとしたらおもしろいよなと邪推してみたり、生育過程は同じなわけだから家庭環境でキャラの違いを出したりイベントを発生させたりするのは難しいかなどと余計な心配をしたりした。
 ただ、この作品ではヒロイン一人一人が他の姉妹に対して劣等感や執着を持っていて、それがイベント発生、主人公と打ち解けるきっかけになっていたり、五つ子であることがうまく機能している。
 おもしろいなあ主人公うらやましいなあ、と単純に楽しんで見ていたのだが、ある回でわかりやすくうまいと思ったのが、主人公・風太郎が金髪のカツラをかぶっているのを見て、以前写真で見た風太郎の親戚・キンタロウ(これも実は風太郎)と勘違いして、次女二乃がそのキンタロウを本気で好きになるシーンだ。
 幽霊を怖がったキンタロウが自分を見捨て逃げ出したので幻滅するのだが、直後崖から落ちそうになるところを助けられて胸キュンする。
 それを見て、うまい、と思ったのだ。


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 初歩的なテクニックなのはわかっているが、やっぱりうまいなあ、売れる人は違うなあ、と感心してしまった。
 写真を見た時点で二乃は金太郎に好意を寄せている。そのまま好きでいさせればいいのに、一度落としてからまた上げるなんてうまいとしか言いようがない。
 悲劇を際立たせたければ、その前にそのキャラクターが幸せなシーンを入れる。いわゆる死亡フラグというやつとやり方は同じだ。「今度結婚するんだ」と友人に楽しそうに言っていたやつは大抵死ぬ。
 恋心を際立たせるために、一度相手に幻滅させておく。
 うまい。見習わなくては。
 死亡フラグで思い出したのが、『銀河英雄伝説』のルッツだ(最近また見直しているので)。彼女との結婚を決意した後、壮絶な死を迎えている。興味のある方はぜひ御視聴ください。ただその回に到達するまでになぜ自分が銀河英雄伝説を見始めたか忘れてしまうかもしれない。なにせそのシーン、九十話以降だったはずだ。

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