2021-01-01から1年間の記事一覧
兄、江戸川乱歩は今の私と同じ年齢の時失踪した。兄は高校一年生、私が小学一年生の時だ。 失踪前、高校生探偵といえば、江戸川乱歩。江戸川乱歩といえば、高校生探偵だった。 その後、私以外に目立った活躍をしている探偵の話は聞かないから、兄が子供にな…
夜、廃工場の前に私はいた。 地面に人の首が載り、その横に胴体が転がっていた。辺りには血が飛び散っていて、両者が生前はひとつであったことを想像させた。 首はこちらを向いていて、その顔が田村坂渉であることを確認した。「田村坂……」 神津刑事が呻いた…
「解決はしなかったが、事件は終わった」 神津刑事はかっこつけて言った。 客観的に見れば、その台詞もそれを言う神津刑事もかっこよくはなかったし、その台詞の内容には誤りがあった。「事件はまだ終わってないよ」「この状況で言うか?」 私の指摘に神津刑…
「こいつが犯人よ!」 我が家の隣に住む砂川楓が鈴木邦夫を指さした。 砂川楓は我が家の隣に住んでいる。 鈴木邦夫は砂川家の隣に住んでいて、砂川家を挟んで我が家の二軒隣だ。「そんなことはない。私がやるはずがない!」「あなたがやったのよ!」「私が、…
このシリーズ、一ヶ月の間に四回読み返した。 きっかけはアニメ。 とあるアニメレビューではぼろくそな評価だったが、原作を読んでみようと思わせる魅力があった。 結果、すばらしかった。 ラストに賛否両論あるが、個人的にはいい終わり方だったと思う。 さ…
ロープを持った犯人は、被害者がバス停から降りたところを狙った。被害者は死に、警察が遺体を運び去り、血の跡が残るだけになった現場に私はやってきた。 例の如く、神津刑事が私を呼び出したのだ。 中学生のときまでそんなことはなかった。それが高校入学…
被害者は心不全によって亡くなった。 就寝中、ベッドの中での出来事だ。 被害者は心臓が弱かった。普通なら病死で片づく話だが、生前命を狙われているとうわごとのように言っていたとの証言があったため、警察が現場検証をすることになった。 神津刑事に呼ば…
その死体、四十キロの鉄アレイが顔面を直撃したことが死因なのは一目瞭然だった。 被害者は七十五歳の男で、自室の布団上で寝ていた。周囲には薄いベニヤ板の破片が散乱していた。 そのベニヤ板とは対照的に厚みのある長方形の板が死体の腹の部分に載ってい…
その喫茶店ではウイルスの感染対策として、客は入口で体温を測らなければならず、37度5分以上あると入店できなかった。 午後一時、店で事件が起こった。 店内の椅子のいくつかに犬の糞が置かれていたのだ。運悪くその上に座ってしまった客によって事件は…
「事故だな」 神津刑事は言った。 死亡したのは芝山千春。二十八歳の主婦で、夫ともうすぐ一歳になる息子との三人暮らし。 二階建ての一軒家である自宅、その一階の居間で亡くなっていた。 死亡推定時刻は午後三時とまだ明るい時間帯だったが、防犯意識は高…
友人の父親が階段から足を滑らせて転落、首の骨を折って死亡しました。 買い物から帰ってきた友人が発見したときには父親はもう息をしていなかったそうです。 そこで少し不思議に思うことがありました。 その友人の家を訪ねたことは何度かありますが、二階に…
敷地の中央に、頂上の高さが人の身長ほどあるある公園、通称・丘公園。そこで殺人事件が起こった。「私、丘のところで人が倒れているのを見たんです」 携帯を使って警察に通報した田之倉葉月はそう証言した。田之倉は二十代前半の美人で、ウォーキングの途中…
由乃と連れ立って私は交番にやってきた。「公園に痴漢が出たから捕まえて」 痴漢の現場であると説明した公園に警官と三人でやってきた。「犯人はどんな奴だったか覚えてますか?」「それが全然覚えてないんです……」 その若い警官の期待に由乃は応えることが…
強いスティーブン・セガールが悪い奴をやっつけて勧善懲悪を成し遂げる。そういう話。単純だがおもしろい。家族を失った男が新しい家族を手に入れる話でもあるが、その新しい家族が○○というのがシュールであり、この作品の個性と言ってもいい。 スティーヴン…
「ない、ないよ!」 鞄の中身をひっくり返しながら小野田大樹が叫んだ。 その様子にクラスメイトが注目した。 私と佐藤由乃もだ。 そんな中、由乃がお節介にも近寄っていった。「一体何がなくなったの?」「それは……秘密です」 由乃が聞くと、小野田が言いに…
「恐いんですよ」 小野田大輝は言った。痴漢で警察に捕まったが、無事復学して、また由乃に付きまとっている同級生だ。 わけあって現在実家で一人暮らししているのだが、誰かに家の中を覗かれているようで不安なのだという。「それで名探偵である江戸川さん…
由乃に誘われて私は遊園地にやってきたのだが、なぜかばったり神津刑事と出くわした。 「本物の刑事さんなんですか? わーかっこいー」 由乃は大はしゃぎだ。 神津刑事は私たちを園内のカフェに誘い、先ほど園内で起こった殺人事件について話し始めた。 内容…
「バカだバカだと思っていたけど、殺されてしまうなんて本当にバカだよ、あいつは。バカでぶりっこで目が離せなくて……」 テーブルを挟んで向かい側に座る男は、うつむき加減で嘆くように言った。 そして、顔を上げた。「……それにしてもなんで今更あの事件を…
家を襲撃されたためブログを更新できませんでした。申し訳ありません。
「危ないですよ、そこ」 小野田大樹が佐藤由乃の先回りをし、道に転がっている空き缶を拾った。「ありがとう、小野田君」 由乃は笑顔で礼を言った。 私と由乃、クラスメイトの小野田の三人は一緒に下校しているところだった。「あ、危ないです。視線はまっす…
地元の球場でうちの野球部が試合をやっていた。 奇跡のエース・野間勇次が投げる一球一球に歓声が上がった。 終わってみれば完封。味方は一点入れたのみだったが勝利した。「なっちゃん。うちのエース、すごかったね。このまま甲子園まで行っちゃうんじゃな…
新しいヤンキー漫画! 主人公は次々と強敵を倒し、最後は(将来の)総理大臣をぶっ倒す。そんな話。 注意点としてはこの漫画を読んでも小説家にはなれないということ。なぜ主人公の書いた小説は面白いのか? 主人公は天才だから! 参考にならない。 響~小説…
新しいヤンキー漫画! 主人公は次々と強敵を倒し、最後は(将来の)総理大臣をぶっ倒す。そんな話。 注意点としてはこの漫画を読んでも小説家にはなれないということ。なぜ主人公の書いた小説は面白いのか? 主人公は天才だから! 参考にならない。 響~小説…
日曜日、昼下がりの喫茶店、食後のコーヒーを飲んでいると、スマホに知らない番号から着信があって私は電話に出た。 相手は知人から私が探偵であることを聞いた人間で、端的に言うと依頼人だった。 依頼内容は、小学校低学年ぐらいの女の子に腕を噛まれたの…
佐藤由乃が私を別荘に誘った。 そのため私は一人、曲がりくねった細い坂道を上っていた。迎えはなし。由乃本人は別荘で待っているそうだ。 道の両脇にはちゃんと住居が建っていた。建物の土台の位置の高さがそれぞれ違っていて、一般の住宅地よりごちゃごち…
テーブルには二つのマグカップが置かれていた。 赤いマグカップと青いマグカップだ。 赤いマグカップには毒が入っていて、被害者はそれを飲んで死んだ。 青いマグカップを利用した人物が犯人、と警察は考えていた。少なくとも神津刑事はそう考えていた。 被…
小夏と小乃子、「小」がかぶるじゃん! ということで、佐藤小乃子はこのたび佐藤由乃に改名しました。
私が自分の席に座ってあくびしているときその事件は起こった。「ない! 私の財布がない!」 大声を上げたのはクラスメイトの明石恵だ。 私は二度目のあくびをかみ殺しながら、机に鞄の中身をひっくり返している明石のところに行った。「財布を最後に見たのは…
誰がこのキュートなキャラクターイラストを描いているのか? 紅白法師@お仕事募集中 - pixiv ジャジャン! 紅白法師さんです! 多謝! 他のイラストレーターの方の紹介の時も思ったのだが、どうすればもっとうまく紹介できるんだ!? ということで、今回は…
「ねえ、ロマンチックだと思わない?」 小乃子が言っているのは、この学校に最近流行り始めたお呪いの話だ。好きな人と制服のネクタイを交換すると、恋が成就するのだという。 くだらない。 ネクタイを交換するような相手なら告白はほぼ成功するに決まってい…