名探偵ポワロのテレビ版第一話を見た。
古い。
古い作品である。
だが古びない面白さがある。
ミステリー好きにはお勧め。
ドラマ『相棒』が好きな人は間違いなく楽しめるだろう。
ストーリー展開が面白いのは当然だがキャラクター描写が実にいい。
どういいかというと、主人公ポアロは決して完璧人間ではなく親しみを持てる人物に造形されていることだ。
助手? 友人? のヘイスティングスが冒頭、新聞記事からポアロの興味がありそうな事件を読み上げていくのだが、優秀な自分にはふさわしくないとばかりに次々と却下していく。
そこからポワロのプライドの高さがうかがえる。
国家的な事件でなければ扱わない、という発言まで飛び出す始末。
プライドが高いだけじゃなく尊大な存在な性格のようだ。
見た目はユーモラス。
ヘイスティングスはそんなポワロに言い負かされるというか、言い返せないというか、たじたじ。自分の意見を引っ込めるしかなくなる。こちらも性格設定がちゃんとなされていて、二人の関係が見事表現されている。
そんな二人のところに依頼人がやってくる。
ポアロが自己紹介すると「本当にあなたがポアロさん? 新聞では優秀な方と書かれていたけど。新聞紙にお金を払ってあなたが書かせたの?」といきなり失礼なことを言ってくる。
人は見た目が9割。残りの1割が大事なことがあるというのは置いておく。
当然プライドの高いポワロは不愉快になるが、依頼人である婦人のことを蹴っ飛ばしたりはしない。あくまで丁寧な物腰だ。それによって紳士的な一面があることも示される
依頼内容は、行方不明のコックを探してくれ。
当然ポワロはそんなしょうもない事件にかかずらわってなどいられないと断るが、自分にとっては一大事だということを夫人に力説され言い負かされ、依頼を受けることを承諾する。
このやり取りはポワロと夫人との勝負であり、それに負けたポアロは潔く依頼を受けたわけだ。これまた紳士的である。
ポワロの人物像、尊大でプライドが高いが紳士的でフェアな人物であるということが 読み取れる。
ヘイスティングスに自分がコック探しをしていることを口止めしたり、婦人から依頼を中止されても、一度手がけたんだからやってやると怒って自腹で捜査を続けたり(プライド)、小間使いとか運送屋に対しても非常に礼儀正しく接し(紳士的)その結果重要な事件の手がかりを得たりする。
終始そのキャラクターにとって不自然でない行動をとっていて、物語を気持ちよく追うことができる。
古びない傑作!
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