鬼熊俊多ミステリ研究所

鬼熊俊多のブログ。『名探偵コナツ』連載中!

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創世のタイガに学ぶ魅力的なキャラクター造形

 今もっともハマっている漫画。
 何がそこまで俺を惹きつけるのか?
 熱中できることがなくぼんやりした日々を過ごしていた主人公の青年は、旅行中友人たちとともに原始時代らしき場所にタイムスリップしてしまう。
 熱中できるものがなくてぼんやりしていて、自分に何ができるのか何があるのか悩む時期というのは誰にでもあるはずだ。
 まずそこで読者が主人公に『共感』する。
 原始時代にやってきた主人公は現代にいた時とは打って変わって生き生きとする。
 獣を狩り、ネアンデルタール人を殺し、その時代のホモサピエンスの人達に受け入れられて、魅力的な女子にも好かれる。
 狼の子供を育て仲間にし、マンモスの子供を育て仲間にする(笑)。
 現代格闘の心得もあるので原始的な戦いをするその時代の人々と比べて強い。
 そもそも戦闘の才能を秘めていたようだ。
 ここまで聞くと、『なろう系』作品をイメージする人も多いと思う。
 主人公がチート的に強くて、ご都合主義な展開が散見される。
 大きな枠で見れば間違いなく『なろう系』だ。
 批判ではない。それに主人公が強くてご都合主義というのは今に始まったものではない。
 ドラゴンボールの悟空だってそれを言ったらなろう系の主人公だ。
 スーパーサイヤ人だし、仙豆で超回復、死ねばドラゴンボールでシェンロンを呼び出し生き返らせてもらえる。なんというご都合主義。
 ハリーポッターだって、ハリーは偉大な魔法使いの息子だし、校長先生もいろいろと気にかけてくれる。
 とにかく主人公はその力をどんどん開花させていくことで、それまでの共感が『憧れ』に変わるのだ。
 自分もこんな風に活躍できたらな、と。
 『共感』と『憧れ』。
 もう魅力的なキャラクターの完成である。
 他のなろう系の作品と比べて一線を画すところがあるとしたら、主人公がスカしていないところだろうか。
 自分がその物語の中心いるのに(主人公なので当然だが)、傍観者のように振る舞っている主人公の作品が多い中、この作品の主人公は明らかに主体的に行動し一生懸命その世界を生きているのだ。
 そこがすごく好感が持てる。
 マイナス点をあげるとしたら、タイムスリップしたことに意味があると確信しているところか。
 人は特別なこと、珍しいことが自分の身に起こった時、そこにスピリチュアルな理由を求めてしまいがちだ。
 だが、それは幻想だ。
 犯罪者に誘拐されて殺された子供がいたとする。
 何の意味があるのか?
 ない。
 ただ運が悪かっただけだ。
 ここで言う運とは偶然ということである。
 話を戻すが、この作品の魅力はもちろんキャラクターだけではない。キャラクターを活躍させるための舞台設定もリアリティがあっていい。うるさくないぐらいにその時代の蘊蓄が語られていたりして勉強になる。
 道具造りの得意な仲間がいて、Dr.ストーンや他の異世界転生モノを彷彿とさせるところも現代風だ。
 シンプルでワクワクするようなおもしろい漫画ないかなー、という人にオススメ。

 

 


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