鬼熊俊多ミステリ研究所

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アニメ・クロスゲームは傑作だ!

 クロスゲームこそ、あだち充の最高傑作だ。作者本人と周囲の評価は知らないが、俺はそう思っている。
 ただの個人の感想だ。
 だが、久しぶりにアニメを見終わってやっぱりおもしろかった。毎日二話ずつ配信されていたのを見たのだが、最終回を見終わった今、クロスゲームロスに陥った。心にぽっかり穴が開いたようだ。
 そのためネットであだち充作品を購入した。まだ届いていないが、ボクシング漫画のKATHUを買った。
 ラフがクロスゲームと同列一位で、虹色とうがらしは三位かな。かといって何度も読み返したラフを買い直すのもあれなので、最終回を読んでいないKATHUを買うことにしたのだ。
 しかし、クロスゲームだ。いやー、うまい。うますぎる。
 キャラクターのかすかな心の動きをわかりやすく描写する点において、群を抜いているように思う。じれったいと感じる人もいるだろうが、これがあだち充の真骨頂かと思う。逆に言うと、短編作品だとその良さが出にくい。
 じわりじわりと進展していく関係性の描き方が良いのだ。
 タッチでは、死んだ弟が主人公とヒロインの枷になっていたが、クロスゲームではヒロインの死んだ姉が枷になっている。
 そのおかげで、なんでどう考えても好き合っているのに二人はくっつかないんだ早くくっつけ! という不自然さに対する要求が読者から出にくい。
 あと、あれだ。
 葛藤を作るのがドラマを生み出すコツなのだが、それをちゃんとその都度解消していくので、読者のストレスが少なくて済む。
 例えば主人公が周りから悪く言われている。それで主人公に感情移入している読者はストレスを感じるわけだが、ヒロインだけには主人公が悪口を言われる行動を取る理由がわかっていて、それは主人公の美点でもあると読者に提示することで、ストレスは解消される。そういった演出を本当に丁寧にやっていて感心する。さすがベテラン。
 天才的な野球センスを持つ主人公、その主人公の能力と人格をよいしょする脇役たち、主人公に心を寄せる美少女。
 そして、主人公は控えめな人格者だ。
 スーパーヒーローなのに控えめ。よくいそうな主人公だ。
 それでも話が薄っぺらくならないのは、控えめながら表層的なスケベ心とかではなく、心の奥にある欲望、ヒロインへの思いがちゃんと描写されているからだ。
 上っ面な欲望だけで主人公を動かしている物語が多い中で、その点は特筆に値すると思う。

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