暇を持て余していた私は、とりあえず銀行強盗をやってみることにした。
――なぜって?
そりゃ、他にやることがなかったからだよ。理由なんてそんなもんで充分だろ。
そういうわけで、必要なものを物色するため、早速自室の押し入れの中をひっくり返す。 帽子とマスクを見つける。私の美しく整った顔を隠すためには絶対必要なものだ。この美貌はあまりにも人の目を惹き過ぎる。拳銃もほしいところだが……
――え? そんなに美形なのかって?
自慢にしかならないけど、コンテストで優勝したこともあるんだ。
「瞳ーっ! 夜中なのにうるさいわよ!」
階下で母親が叫んだ。突然思い立ったため、今が夜中の一時であることをすっかり失念していたのだ。
「わかってる! すぐに済むから!」
怒鳴り返す。
近所迷惑も構わず、今度は武器になりそうなものを探すため、引き続き押し入れの中をガサゴソと漁った。
――女の子が銀行強盗なんてやめた方がいいんじゃないかって?
この男女平等の世の中に、その意見はナンセンスだね。それに男女雇用機会均等法って法律まであるんだ。それを利用しない手はない。
――利用するもなにも、そもそも非合法じゃないかって?
私がそんなことも知らないとでも思ったの。もちろん知ってるよ。でも、現状では圧倒的に男の銀行強盗の方が多いわけ。私はその状況を是正しようと考えているのさ。
――ただの暇つぶしじゃなかったのかって?
……いちいちうるさいわね。そんなことじゃもてないよ。
まったく。
「おばあちゃん、ひいおばあちゃんがうるさいから静かにしろって」
いつのまにか襖が開いていて、高校三年生になる孫の洋子が廊下に立っていた。
「わかったからって伝えときな」
犬を追い払うようにして、私はしっしと手を振って、孫を追い払った。洋子は嫌そうな顔をしたが、私の知ったことじゃない。
――いい歳なんだからやめた方がいいって?
余計なお世話だよ。これからは高齢化社会なんだから、私たちが働かないで誰が働くって言うんだい。
本当にさっきから、うるさいね。
あんた、私に気でもあるの?
――何よ、その顔は?
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