大昔に書いた作品。
ゾンビものではあるけれど、その世界に出てくるゾンビ達は日常生活を送り、別に正気を失ったりはしていない(大体の場合)。
というか、まだまだ周りの人もゾンビをゾンビと気づいていない。気づいている人は気づいているけど、まさかね? という認識が一般的。そんな世界が舞台。
ゾンビらしさに欠けるゾンビものなわけだけど、彼女達にはある共通する能力があって――と話は展開していく。
ゾンビ達は正気を失っていないわけだが、だからといって正気を失っている人間が出てこないわけじゃない。でもそいつは正気を失っているようでいて実はずっと正気のままなのかもしれない、という感じで、正常と異常の境界に挑戦していたりもする(狙ってやったわけではないけど)。
実験的な小説であるかのような解説を書いたものの、これって結局ただの青春小説なので、そういう読み方をするのが正解。
『このクラスには美人が多すぎる』と同様のあやふやさがあると思いつつ、当時この作品を懸命になって書き上げたことを思い出した。結果、自分の作品の中でもかなりテーマ性の強いものとなっている。
イラスト:花岡かおろhttps://xfolio.jp/portfolio/kaorohanaoka