鬼熊俊多ミステリ研究所

鬼熊俊多のブログ。『名探偵コナツ』連載中!

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2023-01-01から1年間の記事一覧

 名探偵コナツ 第61話  江戸川乱歩類別トリック集成(61)

「だからこれは事件じゃないって!」「事件」 と私は一言。「あのなあ。何でもかんでも事件だって決めつけるのは考え物だぞ。心筋梗塞だって医者も言ってるだろ」「でも解剖してないんでしょ?」「それは病死だってわかりきってるんだ。何でもかんでも解剖し…

 名探偵コナツ 第59話  江戸川乱歩類別トリック集成(59)

「それにしてもひどい歌声ね」 私は由乃と同級生の三好早月の家に遊びにきていた。 そこで早月のカラオケを聴いたのだが、ひどいものだった。まさしくジャイアンだ。しかし、本人は実に気持ちよさそうに歌っていた。 なので私の指摘に、マイクを持ったままき…

 名探偵コナツ 第58話  江戸川乱歩類別トリック集成(58)

「被害者はアパート通路の壁から身を乗り出して転落、死亡か……。自殺じゃないよな?」 神津刑事は自信なさげに言った。「自殺するのに二階の通路から飛び降りるって事はないでしょ。頭から落ちて運悪く首の骨を折ってしまったけど、本気で死ぬつもりだったら…

 名探偵コナツ 第57話  江戸川乱歩類別トリック集成(57)

その少年は海水パンツと水泳帽を身につけた格好で亡くなり、少年が通う高校のプール上をうつぶせで漂っていた。 解剖の結果、溺死と判明したが、体内からはプールの水ではなく川の水が発見された。「ここから一番近い川でも一キロはあるぞ。なんで犯人はわざ…

世界心中

大昔に書いた作品。 ゾンビものではあるけれど、その世界に出てくるゾンビ達は日常生活を送り、別に正気を失ったりはしていない(大体の場合)。 というか、まだまだ周りの人もゾンビをゾンビと気づいていない。気づいている人は気づいているけど、まさかね…

 名探偵コナツ 第56話  江戸川乱歩類別トリック集成(56)

神津刑事はいつものように事件内容を女子高生である私に語り始めた。「頭部の傷跡から凶器はこの岩で間違いないそうだ」「二十キロぐらいある岩に頭を打ち付けて死んだ?」「それが、昨日までこの空き地にこんな岩はなかったそうだ。つまり、犯人がこの岩を…

名探偵コナツ 第55話  江戸川乱歩類別トリック集成(55)

そのマンションの一室はバリアフリーが行き届いていた。2LDK。床とドアの開閉部に段差はなく、広々とした造りだ。 トイレや風呂、キッチンなどには金属製の手すりが設置されていた。 寝室。ダブルベッドの置かれた窓際下の壁にも手すりが付いていた。ち…

彼女たちはミステリーをぬぎ散らかす

『彼女たちはミステリーをぬぎ散らかす』 この作品、実は狙ってできたものではない。偶然の産物だ。創作なんてものは全部偶然の産物かもしれないが、ミスチラ(彼女たちはミステリーを脱ぎ散らかすの略式名称)に限っていえば、普段とは違う経緯で誕生した。…

名探偵コナツ 第54話  江戸川乱歩類別トリック集成(54)

高校の男子生徒が校長と抱き合った状態で地面に倒れて死亡していた。 だが、その校長はそもそも六十年前に死んでいた。現在の校長ではなく初代校長であり、生身ではなく彫像だ。上半身しかないものではなく、頭の先から爪先まである等身大のものだ。 つまり…

名探偵コナツ 第53話  江戸川乱歩類別トリック集成(53)

ここはとある屋敷の庭だ。テニスコート三面ぐらいの広さがある。辺り一面砂利で殺風景なことこの上ない。 神津刑事は溜息をついた。「もったいない。俺だったらパターゴルフのコースを造るね。金持ちの考えることはわからないな」「たぶん、雑草が生えるのを…

名探偵コナツ 第52話  江戸川乱歩類別トリック集成(52)

「風呂で溺死って所か。風呂での死亡率は高いからな」 神津刑事が蘊蓄を披露した。「直接的な原因はそうかもしれないけど、間接的原因は感電かも」「なんで?」「その人、すごく髪が長い。でもドライヤーがないの。どこにも」「あ……」「犯人が犯行に使ったド…

名探偵コナツ 第51話  江戸川乱歩類別トリック集成(51)

被害者は男子中学生、渡辺幹生。剣道場で倒れているところを宿直の教師が見つけた。その時にはすでに事切れていたため、教師は救急車ではなくパトカーを呼んだ。幹生はブリーフしか身につけていない姿だった。 剣道部に部員はおらず廃部になっていた。剣道場…

『サクラ専用高橋』出版!

進撃の巨人ってなんであんなにおもしろいんだろう? ちょっくら分析してみるか、とその表層的なおもしろさを分析した結果できたのがこのサクラ専用高橋だ。 つまり、人間と巨人のスケール感の違いってインパクトあるよねっていうのがあって、じゃあ人間と小…

『このクラスには美人が多すぎる』出版!

この作品、タイトルを先に思いついた記憶がある。 『このクラスには美人が多すぎる』 思いついた張本人である俺自身がこのタイトルに一目惚れした。とはいえ、著者としていろいろ反省点の多い作品だった。 かなり力を入れて書いている。それは参考文献の量に…

名探偵コナツ 第50話  江戸川乱歩類別トリック集成(50)

悲鳴を聞いて数秒後、私と神津刑事はその部屋に突入した。 アパートの一室だ。 ワンルームの中央には女の死体が横たわっていた。関根真理子。 その傍らに男が立っていた。 日渡努。 日渡からストーカー被害を受けていると、真理子は警察にかねてより訴えてい…